部門別 人件費×粗利マトリクス 実データ再構築
作成日: 2026-07-10 / 秘書室 / ベース: 賃金チェックシート実データ+TKC R7決算+早朝M R7サマリ
トリガー: アビアン面談(2026-07-08)で表明された「整備2人70 vs 自分1人79で同給料」の主張検証
1. エグゼクティブサマリ(結論先出し)
BP直接工7名 部門差額
+984万/年
1人あたり +140万
整備メカ3名 部門差額
△1,133万/年
1人あたり △378万
直接工10名合算
△149万/年
BP黒字だけでは整備赤字を賄いきれない
整備配賦見直し後(案C)
+771万
粗利率 +18.7% / 業界水準射程内
3つの核心発見
- 「整備は赤字」は配賦の技術問題。労務費を直接工数比で按分すると△138万赤字だが、賃金シート実データで直接配賦すると +771万黒字(+18.7%)。業界水準(20-25%)に肉薄する。
- 整備の1台あたり工賃は23,692円(R7.1-3月 早朝M実測)。TKC売上5.76万円/台のうち工賃分は約4割、残り6割は部品+預り金。
- 業者(ベル)比率38%が整備単価を圧殺している構造。個人62% vs 業者38%。業者単価は個人の1/2〜1/3が業界通念。
アビアン主張の数字面の結論:時給1,034円は他の時給実習生と同一で構造的に妥当。ただし週売上生産性ではアビアン1人=整備2人分(79 vs 35/人)で本人の主張は数字で裏付けられる。給料差の原資は「本人努力」ではなく「部門構造」のため、個別時給改定ではなく成長プレミアム+特定技能移行の道筋で応える必要。
2. 部門別 個人別人件費(賃金シート実データ)
試算前提
- ケースB採用:基本給・手当は賃金チェックシート(申請時点=推定2026年春)実データ
- 倍率:正社員×1.658 / 実習生×1.25
- 1.658倍の根拠:TKC R7人件費85,693千円 ÷ 賃金シート20名月給合計4,308千円×12ヶ月=1.658(賞与・社保・残業込み)
- 1.25倍の根拠:実習生は賞与少なめ・社保あり・残業限定的(業界慣行)
- 時給者:標準176時間/月(8h×22日)で月額換算
2-1. BP鈑金 3名
| No. | 氏名 | 雇用区分 | 基本給 | 手当 | 月額計 | 倍率 | 年間実質人件費 |
| 3 | 木下 利昭 正社員(工場長手当込) | 月給 | 217,000 | 140,000 | 357,000 | 1.658 | 710.4万 |
| 6 | 竹馬 猛 正社員 | 月給 | 188,000 | 15,000 | 203,000 | 1.658 | 403.9万 |
| 14 | アビアン ヌルヤ プラタマ 実習生 | 時給1,034 | — | — | 181,984 | 1.25 | 273.0万 |
| BP鈑金 合計 3名 | 1,387.3万 |
| 1人あたり平均 | 462.4万 |
木下工場長357,000円は工場長手当140,000円が乗った特殊値。本体の技能給は217,000円で竹馬188,000円との差は3.1万円。工場長職務の対価が明確に分離できる。
2-2. BP塗装 4名(佐藤郁也FA移籍反映)
| No. | 氏名 | 雇用区分 | 基本給 | 手当 | 月額計 | 倍率 | 年間実質人件費 |
| 2 | 小田 雄一 正社員 | 月給 | 201,000 | 31,000 | 232,000 | 1.658 | 461.6万 |
| 4 | 野中 淳 正社員(班長手当) | 月給 | 199,000 | 70,000 | 269,000 | 1.658 | 535.2万 |
| 8 | アグン ドウィ サントソ 特定技能2号 | 月給 | 240,000 | 10,000 | 250,000 | 1.658 | 497.4万 |
| 9 | リズキ エコ プラステヨ 実習生 | 月給 | 174,000 | 10,000 | 184,000 | 1.25 | 276.0万 |
| BP塗装 合計 4名 | 1,770.2万 |
| 1人あたり平均 | 442.6万 |
アグン特定技能2号移行(社長確認済み2026-07-10)→ 実習生扱いから正社員相当に格上げ。手取り月給25万は塗装で最高水準に近い。「楽している」と見られる背景に、他の実習生との報酬差の可視化があるかもしれない。
2-3. 整備メカ 3名(アビアン→BP鈑金確定・訂正版)
| No. | 氏名 | 雇用区分 | 基本給 | 手当 | 月額計 | 倍率 | 年間実質人件費 |
| 1 | 小泉 和彦 正社員(部長手当) | 月給 | 189,000 | 35,000 | 224,000 | 1.658 | 445.7万 |
| 10 | ヘンドリ ウイ フェブリアント 実習生(月給) | 月給 | 174,000 | 10,000 | 184,000 | 1.25 | 276.0万 |
| 13 | ノヴァン ラマダン ウィシャヤ 実習生(時給) | 時給1,034 | — | — | 181,984 | 1.25 | 273.0万 |
| 整備メカ 合計 3名 | 994.7万 |
| 1人あたり平均 | 331.6万 |
整備メカ3名の実質人件費は極めて低水準(1人332万)。実習生2名依存で人件費が抑制されている一方、「小泉さんが辞めたら部門崩壊」というボトルネックリスクは維持。
3. 部門横断マトリクス(R7粗利ベース)
| 部門 | 人数 | 人件費/人 | 売上/人 | 粗利/人 | 差額/人 | 部門差額/年 |
| BP鈑金 | 3 | 462万 | ※工賃分離データなし | — | — |
| BP塗装 | 4 | 443万 | ※工賃分離データなし | — | — |
| BP直接工 計 | 7 | 451万 | 1,500万 | 591万 | +140万 | +984万 |
| 整備メカ | 3 | 332万 | 1,373万 | △46万 | △378万 | △1,133万 |
| 直接工 合算 | 10 | 415万 | 1,462万 | 395万 | △20万 | △149万 |
4. アビアン主張の数値検証
本人の主張(2026-07-08 社長面談):
「週間売上で、整備のシャム・ノヴァンが70に対して、自分は1人で79。それなのに同じ給料なのはおかしい」
4-1. 時給・人件費の実データ照合
| 比較対象 | 時給 | 月額換算 | 年間実質人件費 |
| アビアン(BP鈑金・時給) | 1,034円 | 181,984円 | 273.0万 |
| ノヴァン(整備・時給) | 1,034円 | 181,984円 | 273.0万 |
| ヘンドリ(整備・月給) | 1,108円換算 | 184,000円 | 276.0万 |
→ 実習生カテゴリー内で時給・月給とも同一水準。「同じ給料」は事実。
4-2. 週売上生産性の実比較
| 担当 | 週売上 | 人数 | 1人あたり週売上 |
| アビアン | 79 | 1 | 79 |
| 整備実習生(ヘンドリ+ノヴァン) | 70 | 2 | 35 |
| 生産性比率 | アビアン=整備の2.3倍 |
→ 本人主張は数字で裏付けられる。ただしこの比較には集計単位の違い(鈑金工賃 vs 整備工賃)が残る点は要注意。
4-3. 給与差の原資はどこか
BP直接工の粗利率
39.4% vs 整備
△3.4%(現配賦下)。この
部門構造差が給与差の本質。アビアンの努力ではなく、部門の粗利構造に規定される。
→ 個別時給の優遇は他の実習生との公平性で困難。代替策として:
- 成長プレミアム(技能等級手当):中破・溶接など習得スキルを可視化して手当加算
- 特定技能への道筋:時給実習生から特定1号への移行ルート(監理団体要相談)
5. R7早朝Mからの3つの発見
発見1:整備1台あたり売上5.76万円の内訳分解
| 単位 | 実測値 | 内訳の推定 |
| TKC R7 整備売上 | 4,118万÷715台=5.76万/台 | 工賃+一般整備部品+預り金(税・自賠責) |
| 早朝M R7.1-3月 整備工賃 | 462万÷195台=2.37万/台 | 純粋工賃のみ(車検基本料) |
| 差額 | 3.39万/台 | 一般整備部品+預り金 |
純粋工賃は2.37万/台。整備工賃改定を打つ場合、この2.37万を何%上げるかがコア論点。3.39万の部品・預り金は工賃改定の対象外。
発見2:業者比率38%が単価を圧殺
| 区分 | R7.1-3月 台数 | 構成比 | R7通期外挿 |
| 個人車検 | 122台 | 62% | 443台 |
| ベル車検(業者) | 75台 | 38% | 272台 |
| 合計 | 197台 | 100% | 715台 |
業者単価は個人の1/2〜1/3(業界通念)。仮に業者比率を38%→20%に落とせば、全体単価は現状比+11%程度上昇する試算(詳細シミュレーションは次アクション②)。
発見3:「整備△3.4%赤字」は配賦次第で+18.7%黒字にひっくり返る
TKC R7労務費53,259千円の整備配賦を、方法別に比較:
| 配賦方法 | 計算根拠 | 整備配賦 | 整備粗利 | 粗利率 |
| A: 直接工数比 3/11 | 現メモリ準拠(旧配置) | 1,453万 | △138万 | △3.4% |
| B: 実質人件費比率 22.5% | 賃金シート実額比率 | 1,198万 | +117万 | +2.8% |
| C: 賃金シート直接配賦 | 整備メカ3名実額 | 994.7万 | +771万 | +18.7% |
| 業界水準(AOS研究会) | — | — | — | 20〜25% |
これは重要な発見です:現状の「整備は赤字構造」という認識は、TKC科目表の労務費を機械的に直接工数比で按分した結果に依存している。実際の1人あたり人件費は整備メカ332万(実習生2名依存で低水準)、BP直接工451万(正社員・特定技能中心で高水準)と、35%以上の差がある。この差を無視した按分が、整備を過大に赤字化していた可能性。
方法C採用時:整備は+771万・粗利率+18.7%で業界水準(20-25%)射程内。「大改革が必要な赤字部門」ではなく「あとひと押しで業界並みの利益部門」という認識に変わる。
6. 次のアクション3つ
① 業者/個人別 実単価取得
目的:発見2「業者比率38%」の影響を定量化するため、個人車検 vs ベル車検の1台あたり実売上を分離取得。
取得先:フロント記録(山口さん・米田さん)/freeeの車検科目内訳/早朝MのCHシート追加項目
アウトプット:業者単価を10%上げるor業者比率を10ptsダウンさせた時の粗利シミュレーション
所要時間:フロント担当者ヒアリング1時間+データ集計2時間
② TKC労務費配賦の再検証
目的:発見3を根拠に、部門別P&Lの労務費配賦方式を「直接工数比→実質人件費比率」に改める。整備・BPの真の粗利を可視化。
対象ファイル:
.company/finance/analysis/segment-profit-analysis.html(要修正)/
project_segment_profit_actual.md(メモリ更新)
連動議題:経理独立化(project_accounting_independence.md)で、freee移行後の部門別P&Lを本方式に統一。TKC決算書の科目按分ロジックは碓井税理士と協議。
アウトプット:R7実績の部門別P&L 3方式比較レポート+R8予算の配賦方式決定
③ R8週間売上シートの直近実データ確認【推奨】
目的:アビアン本人が見た「79 vs 70」の集計時点・集計単位を特定。反論の根拠となる直近実データを押さえる。
取得先:R8現場運用シート(reference_r8_operational_sheets.md)の週間売上シート・BP納車入庫・整備納車入庫の5本
確認ポイント:
- 週売上79はいつの週のアビアン集計か
- 整備の週売上70は「ヘンドリ+ノヴァン合計」か「シャム+ノヴァン合計」か(本人発言に矛盾あり)
- 塗装のアグン・リズキの週売上も並列取得(発見1のアグン特定2号手取り差を可視化するため)
推奨理由:本人主張の直近数字を押さえてから、根拠のある反論・承認材料を作れる。①②は経営分析、③は現場対話の材料。③→シミュレーション(①②の続き)の順が実務優先度として高い。
7. 整備部門の最適人員配置シミュレーション
制約:小泉さんは必須(技能継承拠点・部長)。この前提で「損益を業界水準(+20-25%)に合わせる」ための配置を比較。
7-1. 貢献粗利プールと物理的最小人員
整備の貢献粗利プール(R7)
1,765万
売上4,118 − 部品1,953 − 経費400
物理的最小人員
3名
車検715台/年=週14台 実作業ベース2.1名+書類・部品・待機
7-2. 配置シナリオ比較(6案)
| 案 | 構成 | 人件費 | 売上想定 | 貢献粗利 | 部門利益 | 粗利率 | 実現性 |
| A 現状維持 | 小泉+ヘンドリ(月給実習生)+ノヴァン(時給実習生) | 995万 | 4,118 | 1,765 | +771 | +18.7% | ◎ |
| B ヘンドリ特定1号 | 小泉+ヘンドリ(特定1号)+ノヴァン(時給実習生) | 1,070万 | 4,118 | 1,765 | +695 | +16.9% | ◎ 技能定着 |
| C 特定1号2名化 | 小泉+ヘンドリ(特1)+ノヴァン(特1) | 1,146万 | 4,200 | 1,800 | +654 | +15.6% | △ ノヴァン時給→月給化ハードル |
| D 減員2名 | 小泉+ヘンドリのみ | 722万 | 3,500 | 1,500 | +778 | +22.2% | × 車検715台回らない |
| E 4名化(実習生追加) | 現状3名+新実習生1 | 1,268万 | 4,300 | 1,843 | +575 | +13.4% | △ 売上増裏付け薄 |
| F 混合強化 | 小泉+正社員メカ1名+実習生1名 | 995万 | 4,600 | 1,972 | +977 | +21.2% | △ 正社員メカ外部採用が熊本市場で難 |
7-3. 推奨:案B(ヘンドリ特定1号移行版)
推奨根拠
- 粗利率+16.9%は業界下限20%に肉薄、狙える現実解
- 案Aと差75万の追加投資で小泉さん後継=技能継承リスクの本命解を得られる(
project_maintenance_restructure.mdの方針と整合)
- 案Dの粗利率+22.2%は数字上最高だが車検715台維持が物理的に無理で売上減リスク大
- 案Fの+21.2%も魅力だが、正社員メカ外部採用は熊本市場で難易度高(賃金水準28-32万必要 vs 現状21-22万)
7-4. 案B+業者比率削減の重ね技(推奨強化案)
| 要素 | 台数 | 単価 | 売上 |
| 業者削減前 個人車検 | 443 | 6.0万 | 2,658万 |
| 業者削減前 ベル車検 | 272 | 3.5万 | 952万 |
| 削減前 合計 | 715 | 5.05万 | 3,610万 |
| 業者削減後 個人車検(+150台) | 593 | 6.0万 | 3,558万 |
| 業者削減後 ベル車検(▲122台) | 150 | 3.5万 | 525万 |
| 削減後 合計(業者比率20%) | 743 | 5.50万 | 4,083万 |
| 売上増 | +28台 / 業者比率38%→20% | +473万 |
案B+業者比率20%の最終ポジション
- 売上:4,118万 → 4,591万(車検+473万上乗せ)
- 貢献粗利:1,765万 → 1,965万(+200万)
- 部門利益:+695万 → +895万
- 粗利率:+16.9% → +19.5% 業界水準+20%到達射程
実行上の留意
- 業者削減はフロント(山口さん・米田さん)の受注コントロールと連動必要。既存ベル契約の縮減交渉は関係悪化リスクあり
- 個人車検+150台への転換は集客・アフタコール強化(CHシート9指標の運用復活)が前提
- ヘンドリ特定1号移行の手続きは監理団体経由。移行費用約30万+行政書士費用
- ノヴァンの時給→月給化(案C)は特定1号ハードル高いが、R9以降の第二陣として検討価値あり
7-5. 判断フレーム
| 意思決定 | スケジュール | コスト | 期待効果 |
| 案B(ヘンドリ特定1号移行)着手 | 2026-08中に監理団体面談 | 約30万+人件費+75万/年 | 技能継承リスク解消・粗利率+16.9%維持 |
| 業者比率20%目標の受注設計 | R8下期(10月〜)で段階的 | ベル関係調整の心理的コスト | 粗利率+19.5%達成 |
| ノヴァン特定1号(案C)検討開始 | R9春(実習期間終了時) | 手続き+月給化+75万/年 | 3名全員が長期戦力化 |
8. R8への含意
7-1. 賃金設計の論点
- 実習生時給1,034円(=最低賃金):熊本県最賃は2025年+8.6%上昇。R8で最賃改定があれば時給者は自動上昇。既存正社員との差が縮まる圧力。
- 成長プレミアム制度の設計余地:アビアン主張への回答策として、技能等級手当(等級1〜5、月額+5,000〜+30,000円)を新設できるか要検討。他の実習生にも波及する制度設計が必要。
- アグン特定2号の位置づけ:手取り25万は塗装3位で「楽している」と見られやすい。技能・成果に応じた手当加算のルール化で不公平感を透明化。
7-2. 整備の位置づけ再定義
- 配賦方式変更(案C採用)で整備は+771万・+18.7%の黒字部門に。「BP集客装置」から「独立した収益部門」への評価転換が可能。
- ただしヘンドリ特定1号移行が実現すると人件費+80万/人(月給→賞与増)→ 部門差額の再計算必要。
- 業者比率20%を目標にするなら、ベル既存契約の縮減交渉が必須。売上減リスクとのバランス設計。
7-3. BP直接工の収益率再現性
- +140万/人はギリギリ黒字。BP工賃粗利率39.4%を維持できないと即赤字化。
- R6.4施行レバレート改定(鈑金P単価+27.7%)の効果が第2年目で本格定着したのがR7実績。R8はこの水準の維持がベースライン。
- 塗装個人按分バグ(5名同額按分)が2年継続。木下工場長との集計ロジック合意が急務。
7-4. 会議での使い方(BP現場会議 議題連動)
本レポートは以下の会議・面談で使用可能:
- アビアン継続対話:4-1〜4-3のセクションで「時給ルールと部門構造の説明」を実施
- 木下工場長・野中班長・竹馬・小田との現場会議:BP直接工1人あたり差額+140万を共有し、粗利率維持の重要性を認識合わせ
- 8/6 AOS研究会:整備配賦見直し後の粗利率+18.7%を業界水準と照合。他社1人粗利800-1,000万との差の真因特定
- 碓井税理士との定例:TKC科目表の部門配賦方式変更を協議